築20年の中古住宅のリフォーム事例です。もともと2世帯住宅として使われていた空間を、新たに住まう4人家族の生活に合わせて間取りを再編成。ピアノ教室をいとなむ奥様のために防音室を設置し、耐震診断と適切な補強計画、断熱には吸音、調湿効果の高いセルロースファイバーで温熱環境を整備しました。特徴として、玄関やリビングは生活の場でありながら、ピアノ教室に来られる生徒さんとのコミュニケーションの場としても機能します。リビングの隣りには個室のダイニング・キッチンスペースが用意され、生徒さんが来られている場面でも、家族の生活に制限を受けないよう工夫しています。ピアノ防音室は、昼夜を問わず利用するため、設置場所についても綿密に検討し近隣への影響を極力少なくすることにも配慮しました。ご家族はそれぞれ学校や塾、習い事、職場などに通い、個々に忙しい時期を過ごされています。それはピアノ教室に通う生徒さんたちも同じです。このリフォームのもう1つのテーマは、職場や学校にある白い壁、白い光、硬い床、整列した机、とはできるだけ遠ざかる空間をつくることでした。個々がやがて自立していく日までの間、帰ってくる共通の場所として、単なる入れ物としての住宅をこえて、家族の「住まい」が築かれていくことを目指しました。
用途 | 個人住宅(リフォーム) |
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所在地 | 東京都練馬区 |
構造/規模 | 木造在来工法/2階建て |
延床面積 | 148㎡(44.70坪) |
設計・監理 | 坪井当貴建築設計事務所 |
施工 | 株式会社加藤工務店 |
撮影 | 小林勇蔵/K-est works |