Story
文京区の閑静な住宅街。道路から奥に位置する旗竿形状の敷地に二世帯住宅の設計のご依頼いただきました。北欧デンマークでの生活経験のあるお父様は日本とデンマークとの関係を築くことに尽力され、現在もその活動を続けられています。
デンマークでのご経験をもとに、今回の家づくりは感性のあう方にお願いしたいという丁寧なお申し出をいただいたのを覚えています。奥様や同居される息子さんご夫妻にも快く賛同いただくことができました。ご要望の中で特に重視されたことは、1階にいかに光を取り入れて明るい空間ができるかということでした。1階は親世帯、2階は子世帯とした場合に1階の親世帯が暗くなってしまうことへの改善策として、「中庭」を利用して室内に反射光を取り入れることをご提案しました。日本の伝統建築の中には白い壁や庭に敷かれた白い砂利などその反射光を利用して間接的に光を取り入れているものが多くあります。更には中庭は外部からのプライバシーを守る効果や、台風などの強風を避け、住宅内部の音環境を安定させる効果など、その利点を最大限活かせるプランとしました。ソフト面ではそれぞれの世帯の暮らしの現状を伺いながら、同居することで起こりうる様々な問題や場面を想定することで、同居のシナリオを丁寧に組み立てていきました。性能面では耐震性能+制震性能を取り入れ、高い断熱性と気密性、機械換気を採用することで、温熱環境と空気環境の安定化を図りました。外観はモスグリーンの落ち着きのある色彩とし、緑豊かな住宅地への配慮と環境調和のかたちを目指しました。

物件Data
用途二世帯住宅
所在地東京都文京区
構造/規模木造
延床面積195㎡(58坪)
設計・監理坪井当貴建築設計事務所
施工株式会社藪崎工務店
撮影小林勇蔵/ケイ・エスト・ワークス

坪井当貴
建築設計事務所

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