こどもたちにとって保育園とはどのような場所に映るのでしょうか。もしかしたら親と離れさみしい気持ちで一日過ごしていたり、知らない人たちに囲まれる緊張感であったり、彼らの心に寄り添うことは幼児保育に係る方々の永遠のテーマです。設計前のヒアリングでは園長先生の考える保育のありかた、また一日のこどもたちの様子、そこで働く保育士さんたちのご意見をもとに新しい園舎のイメージを一緒に話し合っていきました。定期的に行われるミーティングでは、建物というよりこどもたちの目線からみてどのような「場所」をつくるのがよいかという話が中心になりました。こどもが「たのしい場所」とはどんな場所か、また近づいてみたいと思う「形」とはどんなものか、こどもの心が落ち着く「色彩」、建物を小さく見せる工夫、部屋の中と外が緩やかにつながる解放感。狭いところに隠れる楽しみ、それに伴う安全な対策、迎えに来た親の顔が見えやすいまっすぐなアプローチ、お昼寝のときに見える星空のような天井、部屋の中から本当の空が見える天窓など、たくさんのアイデアがもとになり、この建物が出来上がりました。大人からこどもたちへ送る「自分たちの居場所」のプレゼントとして、ここに通う幼い彼らの心に何かが残ってくれることを密に期待しています。

物件Data
用途保育園
所在地茨城県
構造/規模木造2階建て
延床面積120㎡
設計・監理坪井当貴建築設計事務所
施工株式会社オオバ工務店

坪井当貴
建築設計事務所

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