古い家を他人に貸すとき

今所有している古い家を誰か他人に貸してみたい、設計のご相談とは別にそのようなお話をお聞きするときがあります。

土地や家をいくつか所有されている方からのもので、壊すには惜しいけど、そこでの賃貸収入を得て副業としていきたいというケースです。実際に地主さんなどいくつか不動産を所有している方で、家賃収入で生活していける方もいらっしゃいますので、ご実家の家を壊すにもお金がかかるし賃貸利用すれば収入が得られそうだから自分もやってみたいと思われるのも理解できます。

ここでまずポイントになるのは、家を他人様に貸すということは、自ら大家になるということです。賃貸物件を借りたことがあれば概ねご想像できるかと思いますが、借主と大家さんとの間で賃貸契約を結ぶことになります。あくまで一般論ですが、家賃をいただく代わりに、大家さんは借主の生活環境を補償していく必要があります。

固定設備の不具合やドアの建付けの修理など、家の不具合についての責任を貸主が持たなくてはならないのです。月のお家賃をいくらで設定するかにもよりますが、入居前にはリフォームをすることも必要ですし、物件管理するための管理会社との契約料や、固定資産税のお支払いを含めると、出ていくお金も相当なものになります。

家の築年数が古く、耐震性などに不安がある家となれば、家賃相場からも低くしないと借り手も見つかりません。ですので、不動産として有効利用をする場合には、支出と収入がどのくらいになるのか事業収支を作成して、リフォームに必要な借り入れを行ったり、税理士さんに確定申告をお願いするといった諸経費も必要です。

古い家だけど人に住んでもらったほうが家が痛まなくて済む、固定資産税を家賃分で相殺する、というくらいの寛容性をもって、ご検討されてみるのもよいかと思います。

 

 

坪井当貴
建築設計事務所

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